2016年7月26日火曜日

提訴の報告:本日(2016年7月25日)、東京大学を被告として、不正な教授人事による学問の自由の侵害を理由とする1円の損害賠償請求の訴えを起こしました。

私がさかさまなのか、あの人たちがさかさまなのか(※)を問い直す裁判。
君は学問にも科学技術にも関心がないかもしれないが、学問、科学技術は君に関心がある。君をコントロールするために不可欠の道具だから。

                                (※)藤原新也「メメント・モリ」から


                                             原告代理人 柳原敏夫
【事件の概要】
 原告柳田辰雄は、1998年4月の設立以来、学融合を標榜してきた東京大学新領域創成科学研究科に所属する教授です。

 2009年から2010年にかけて、東京大学柏キャンパス新領域創成科学研究科国際協力学専攻の中の国際政策協調学という分野が社会的意思決定という分野に変更になりました(以下の※1がその組織体制です)。しかし、この分野変更の手続において内規により本来取らなければならない民主的な手続(会議の審議・決定等。以下の※2が分野変更&人事手続の流れです)を取らずに分野変更を決定し、手続上に重大な違法がありました。その結果、その分野が違法に廃止され、そのために、その分野を重要な柱の1つとして学融合を進めてきた原告の学問研究は重大な支障を来たすに至りました。これは原告が取り組んできた、学融合に関する学問研究の自由の侵害に該当するものです。
他方、東京大学は、大学における研究者の学問の自由が侵害されることのないように万全の措置を講ずるべき義務を負っています。しかし、東京大学はこの義務を怠ったことにより上記の原告の学問の自由を侵害しました。よって、原告が被った精神的苦痛を賠償する責任があり、原告は賠償金として東京大学に1円を請求したものです。

とりわけ東京大学の新領域創成科学研究科は新しい学問領域を創出するとして学融合の重要性を強調して作られた研究科であり(→そのHP「『学融合』という概念で、新しい学問領域を創出する」)、そのような場で学融合の推進と逆行する異常事態が発生したことは学問研究の危機を示すものにほかならず、改めて、この問題について、今日の日本の大学のあるべき姿を問い直すものです。

 原告は、本訴訟を通じ、学融合の本来のあり方が回復されることを強く願っています。

 【原告柳田辰雄の連絡先】 ah5t-yngt*j.asahi-net.or.jp(*を@に置き換えて下さい)
 【裁判資料】
 訴 状
原告の陳述書
事件の経過年表
証拠説明書(1)
原告自身の抱負

【マスコミ報道】
朝日新聞 -> 東大大学院教授、大学を提訴「内規違反などで自由侵害」

【会見の映像】
YouTube

※1 柏キャンパスの組織体制(一部誤記のため2017年5月23日付原告陳述書(4)別紙1で訂正)

※2 分野変更&人事手続の流れ

 

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